たかしまんブログ(1/36500)

人生100年(36,500日)時代を生きる。現役役員が教えるどんな企業でも1,000万円稼げる仕事術と豊かに生きる考えかたのヒント。

年収1,000万円のリアル

サラリーマンにとって、年収1,000万円は1つの目標となる金額だと思う。広告代理店・金融・商社・コンサルティングファームなど一部の業界を除けば、年収1,000万円達成は40代が現実的になるだろうか。年収が500万前後の若手からすれば2倍の年収。ちょっとだけ夢が広がるかもしれない。年収を上げることが仕事のモチベーションになっている人も多いと思う。

 

だが、年収が上がっていくと実感できるのが「額面年収が上がるほど手取りは増えていかない」という悲しい現実である。税金、とくに所得税の存在が大きいからである。ご存知かもしれないが、所得税は超過累進課税であり所得が増えれば増えるほど所得税率も引き上がっていく。所得税は以下で計算することができる。

※ここでは税計算を正しく伝えることが目的ではないので大雑把に説明している。

 

所得税=課税所得×税率-税額控除額

※課税所得は、通勤手当や旅費などを除く収入の全額から、社会保険料や労働保険料、配偶者控除、寄付金控除などの所得控除を差し引いたあとの所得額。

 

そして所得税率は以下の通りとなる。

 

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

https://www.freee.co.jp/kb/kb-payroll/how-to-calculate-income-tax/より引用

 

いわゆる年収(額面)1,000万円の場合、ざっと計算すると課税所得は650万くらいで税率は20%。年収500万円だと課税所得はだいたい250万円で税率は10%と半分になっている。

 

こうして計算してみると、「年収と税率が比例しているので問題ないじゃん!」という声も聞こえてくるが、自分の体験も重ねて伝えると、年収500万円を稼ぐために必要な時間・労力と年収1,000万円を稼ぐそれは単純に比例しない。比例以上だ。ぼくの場合は働きかたが非効率だった・・・という可能性もあるが、まちがいなく2倍以上の時間・労力を投下しているし、スキルアップやインプットを増やす自己投資額も増える。もちろん交際費もすごく増える。社外の人との情報交換やネットワーキングはもちろんのこと、大抵の場合は管理職になって多くのメンバーを持つので、飲みに誘って励ましたりモチベートする。その飲みも奢ったり多めに出す。こうして出費が加速度的に増えていく。

 

確かに年収は2倍になるが、税金も2倍、時間・労力も2倍、必要経費は2倍以上。結果的として手取りというか、自分が自由に使えるお金も時間もそんなに増えない!という現実がある。しばらくは管理職としての責任感や年収1,000万円を貰っているという感謝の気持ちから頑張っていられるのだが、ある日ふと気付くのだ。

 

「あれ?何かぜんぜん豊かじゃない。」

「むしろ疲弊している気がする。」

 

この悲しい事実は、とくに成長企業で多く見られる。

 

組織の成長スピードが早いと、組織作りのスピードよりも社内のタスクが増えるスピードの方が圧倒的に早く、結果的に一部の優秀な人材(というか仕事を捌ける人材)に仕事が集中する。そういった人材は成長意欲も旺盛でエネルギッシュなことも多い。何でも意欲的に仕事に取り組んでくれる。経営や上司から非常に重宝がられるの人材だし、その期待に応えたいと思ってさらに頑張る。

 

だが実際には気付かないうちに疲弊のスパイラルに陥っているのも、年収1,000万円を稼ぐレイヤーが多いと思う。これが年収1,000万円のリアルだ。ちなみにこのスパイラルは年収2,000万円まで続く可能性がある。

 

これから年収1,000万円以上を目指していく人は、こうしたリアルを認識して、覚悟をもって登っていった方が良い。組織内で年収を上げていくということは、少なからずこのようなリスクを孕んでいる。

 

もちろん、経験報酬は得られる。マネジメント範囲が広がればメンバーとの繋がりも増える。役職がつくことで視点が上がって経営視点を学べるし、自尊心が満たされるということもある。一方で責任やプレッシャーも増え、必要な時間・労力も増える。

 

盲目的に年収をあげることを目指すのではなく、それに紐付くさまざまな要素を考慮した上で、

 

「自分が本当にそれが欲しいのか?その時間の使い方が好ましいのか?」

 

をぜひ自問自答して欲しいと思う。

ちなみにぼくの場合、トータルで登ってよかったと思っている。