たかしまんブログ(1/36500)

人生100年(36,500日)時代を生きる。現役役員が教えるどんな企業でも1,000万円稼げる仕事術と豊かに生きる考えかたのヒント。

器用貧乏から脱出する方法

■結論

ジェネラリストに未来はあるのかと言えば、未来は暗い。ただし、ジェネラルマネージャーの未来は明るい。

 

ちょっと具体的に考えてみた。

ビジネスの課題がどんどん難しくなっていて、中途半端な知識や経験では課題解決の糸口がつかめないという事態が発生している。経営幹部を育成するために、大手日系企業の教育システムではジョブローテーションが主軸である。

 

■ジョブローテーションの価値

部門横断的に業務を理解・経験して、多面的な視点で会社を捉えられるようになる事が、経営視点を養うという考え方だ。環境変化に乏しく、ビジネスモデルがある程度固定化している事業環境においては、さまざまな部門を経験することで部門横断的な課題解決を思いつけたり、判断するさいに広い範囲で一定の業務理解があるので成功確率が高くなるように思う。

ただ変化が激しい事業環境においては、5年や10年前にジョブローテションの一環でインプットした知見が通用するだろうか?答えはNOだ。

もちろん、無いよりはあった方が良いに決まっているが、意思決定に反映できるレベルの知見にはならないと思う。特にIT業界においては、テクノロジーや業界を取り巻くルールなどが絶えず変化しているため、特定領域のキャッチアップを続けるだけでも精一杯だ。たとえばアドテクノロジーの世界などが顕著だが、DSP・DMP・RTB・AI・Cookie・ITPなどさまざまな英単語が飛び交う。毎年こうした用語やテクノロジーを理解して活用するだけでも大変なわけだが、5年前にはこれら言葉はほとんど登場していない。つまり、広告業界における5年のブランクは、その業界でもう活躍出来ないことを意味する。

 

■ジェネラリストは帯に短しタスキに長し

多くの業界において、このようなスピード感で変化が起きている。つまり、そのような時代においてジェネラリストの価値はとても小さい。人材不足な企業においてニーズはあり続けると思うのだが、企業が成長を続けて課題が複雑で高度になっていけば、ジェネラリストの価値は逓減していく。諺でいえばあらゆる課題に対して「帯に短しタスキに長し」という人材になってしまう。経験的にだが、30代中盤まではビジネスパーソンとしての基礎力を高めるために幅広い業務を経験することが重要だと思うが、それ以降、とくに40代になってからジェネラリストの道を突き進むと年収と解決できる課題が折り合わなくなっていき、キャリアが先細ることが想定される。

 

■本当のジェネラルマネージャー

一方で、仕事が専門分化していけばいくほど、そもそも各部門の課題を理解すること自体が難しくなるし、横断的な課題解決はますます難しくなる。前述のように中途半端なジェネラリストは歯が立たない。求められるのは、そうした各部門の課題と本質を正しく理解し、統合解決策を考えることが出来る存在だ。これがジェネラル・マネージャーだと思う。ジェネラル・マネージャー=部長という意味合いで使われることが一般的だと思うが、ここではそのような意味ではない。部門横断で課題解決を推進できる存在としてのジェネラルマネージャーだ。

 

ジェネラルマネージャーに必要なのは、ジョブローテーションによる業務経験ではなく、課題の理解力や仮説構築力、解決策の着想力や思考力、そして全社横断プロジェクトを推進するビジネスドライブ力などのスキルだと思う。こうした経験は実際に全社横断プロジェクトを推進する中で養われることが多いと思うが、0から新規事業や新商品の立ち上げをすることでも得られると思う。

 

自分自身ががジェネラリストタイプで器用貧乏を自認しているならば、積極的に前述の仕事を取りにいくべきだ。ジェネラリストがジェネラルマネージャーへ進化する為には、本質的なビジネススキルを極限まで高めるしかない。