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マーケティング、コミュニケーション、リサーチ。

マーケティングの成功には、コミュニケーションとリサーチの両輪が必要です。マーケティングは売れる仕組み作り。コミュニケーションとリサーチは共にターゲットとの相互交流ですね。

燃え尽き症候群は突然に

年収が増えると同時に責任が増えるのは当たり前のこと。
さらに役職が上がれば現場から遠くなり、全て間接的な営みに変わっていくのも当たり前のこと。それが経営陣であり、目の前のタスクやプロジェクト単位ではない、会社や事業全体を丸ごと動かすのがマネジメントというものだろう。経営者になるべくビジネスの世界に身を投じて12年。気がつけば従業員規模1,500名以上の企業で経営陣を任されるポジションになったのだが、大きな誤算があった。

それは、毎日が全然楽しくない…(笑)

 (笑)と書いたものの実際は笑えない状況で、幸福度は間違いなく下がり続けている。

そればかりか、何だか力が入らない、情熱が沸かない、モチベーションが続かない、
心が動く機会が減った等など、今までの自分では想像も出来ない状態がしばらく続いている。最近ふと思い至ってしまったのだが、「これって燃え尽き症候群じゃないか?」という事。まぁそれは大袈裟で、ちゃんと会社で責任は果たしているしエネルギーが湧く時間もあるので根本的には大丈夫だと思っているが、少なくとも以前より情熱やモチベーションのマネジメントが必要になっているのは確かだ。

 

心がすり減り続けているのだと思う。

 

ではどうやったら自分の心が喜ぶのか?エネルギーがチャージされるのか?
を考えて見てもさっぱりわからない。そもそも、その様な視点で自分に向き合った事はないのだからわかるわけもない。このままいけばすり減り続けてすり切れて、最終的には無くなってしまいそうなので、「自分を労る時間」「自分の心が喜ぶ時間」を大切にしていこうと思う。

 

仕事が好きで仕事している時間が一番楽しいという方こそ、陥るリスクがある病。なってからでは回復に時間がかかるのが病気というもの。頑張りすぎない努力、心の身体のメンテナンスは第一線で活躍するビジネスマンの必須スキルだと思う。

 

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実はこの記事を書いたのが1年半前だったのですが、これを機会に仕事以外で心が喜ぶ時間を探したところ、ダイビングとキックボクシングを始める事になりました。360度、見渡す限り海に囲まれる空間と、自分の身体と向き合ってパンチや蹴りを打ち込む瞬間は、ちょっと楽しい。燃え尽きを実感しなければ辿りつかなかったアクティビティだったと思う。そう考えると、燃え尽き症候群は自分の新しい扉を見つけるサインなのかもしれないと感じています。

リサーチは生活者との対話

マーケティングリサーチというビジネスに長年携わっていると、アンケート票(業界では調査票といいます)を見る機会は多いのですが、最近、というかこの数年ずっとこの調査票の質問数の多さに頭を悩ましています。

リサーチするという事は当然聞きたい事があるのわけで、あれもこれも聞きたくなるという気持ちはわかります。自社商品のブランドイメージ、購入理由、満足度、推奨意向、可処分所得、普段の情報収集メディア等など。あっという間に20問・30問・40問と質問が増えていきます。私が営業担当だった際にとある外資系コンサルファームからのお仕事では、100問を超える調査票も頻繁にありました。

そんな調査票を見るにつけ、調査票の向こう側にいる回答者、すなわち生活者のが全く見えていないのだなと寂しくなります。もしかしたらインターネットリサーチの功罪の罪の部分かもしれませんが、調査票を作ってメール配信したら”機械かなんかが勝手に答えを埋めてくれる”と勘違いされているのは?と思います。

もちろんそのような事はなく、アンケートに協力してくれる善意の回答者が生身で存在していて、一生懸命答えてくれているのです。彼ら彼女たちは自分たちの意見が商品や社会をより良くするならば…というモチベーションでアンケート回答をしてくれているのです。それが誰からの依頼なのか、どう活用されているのかも充分にわからない状況にも関わらずです。通常のコミュニケーションであれば、誰も見ず知らずの相手や初対面の相手に50問も100問も聞きません。質問ばかりが続けば関係性が悪くなる事くらいは誰でも理解できるでしょう。

 

-話しやすい話題から振る

-質問攻めにしない

-デリケートな質問は避ける

-話が長くならないように気をつける  等々。

 

コミュニケーションの基本として誰もがおそらくは実践している事柄が、アンケートを通すと全く守られていないのです。献身的とも言えるアンケート回答者の存在に、調査会社も調査主も無頓着だからこそ、非礼とも言える調査票を作成している事に気づかないのです。

 

リサーチは生活者との対話。コミュニケーション。

調査票は生活者とのコミュニケーションツール。しかも初対面同士。

 

そういう感覚が当たり前のように実践される世界を創らないと、

「アンケートを通して生活者の声を集める」という現在のビジネスモデルが破綻する日も遠くない。そう感じています。

感性×理性が仮説を生み出す鍵

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マーケターやリサーチャーは、「世の中はいまこうなっている(=インサイトの仮説)という事を独自の視点で捉え、コミュニケーションプランやレポートに反映する必要がありますから、インサイトに対する良質な仮説を思いつけるかどうかは非常に重要です。ではどうしたら良質な仮説を思いつけるのでしょうか?

 

答えは非常にシンプルで、インプットの量×質で決まると考えています。

 

そもそも誰しも、情報が無ければ物事を考える事すら出来ませんから、あるテーマについて考えを深めたければ、そのテーマのインプットを増やすことが最善です。

まず最初に、体型系な知識を得る為に類似テーマの書籍を数冊読むことをオススメします。同じ著者のものは基本思想や主張が似通っていますから、出来れば複数の著者の書籍に触れましょう。書籍間で共通して語られている事は、要点である事が多いはずですし、違いがあればそれは、解釈に様々な視点がある事に気付けると思います。書籍から体系的な知識を一通り得たら、次はそのテーマに関する最新のフロー情報(SNSやWEB、雑誌に掲載されている様な情報)に目を通します。フロー情報なので表面的なトレンド・ブームを伝えている事が多いのですが、体系的な知識がベースにあれば、本質を見失わずに最新情報をアップデートする事が出来ます。

 このようなインプットを得た後、実はこれが一番重要だと思うのですが、現在流行っている情報に積極的に触れに行く事が重要です。例えば最新の直木賞を受賞した書籍を読んだり、OLの間で流行っているスイーツをデバ地下に買いに行ったり、話題の映画を興味なくても観に行ったり、とにかく「多くの人の心を動かしている物・場所」に出向いたり、ふらっと美術館やインテリアショップに入るなど、業務時間中には出会わない物・場所に触れる事を心がけます。感性を磨く努力をする、と言い換えても良いかもしれません。例えば仮説を持ちたいテーマが、「アクティブシニアが本当に実現したいこと」「通信キャリアにおける新規事業を考える」というものだったとしても、感性を磨けるような「多くの人の心を動かしている物・場所」に触れる事をオススメします。なぜなら、良質な仮説やアイデアというものは、様々な情報の結び付きによって生み出されるものであり、遠い距離にある情報同士が結びついた時ほど、先人が考えもしかなった仮説・アイデアに繋がるように思います。そのような良質な仮説やアイデアは、まず頭の中でパッと思いつき(これは右脳的な働きだと思います)、それを左脳的な働きで論理的に整理していく、というプロセスで形作られるのだと思っています。

 例えば大ヒット映画でご覧になられた方も多い「君の名は。」を例にとれば、登場人物たちの純粋で一途な想いと昔の自分を重ねた人も多い事でしょうし、少し突っ込んで解釈すれば、男女の入れ替わりを日常に溶け込ませる事で、男らしい男・女らしい女が素晴らしいという従来の価値を否定している様にも感じられます。個人としては様々な感想を持つかと思いますが、マーケターやリサーチャーのスタンスとして大事なのは、それでも日本に限らず中国でも大ヒットしたのはなぜか?と考える事が重要です。私の場合はまず「みんな寂しいのかな」という仮説がパッと浮かびました。何かのインプットした後に訪れるこの”パッと浮かぶ”仮説やアイデアというのは、後述しますが実は非常に重要です。この仮説をもう少し肉付けをすると「若者を中心とした多くの人々が、現代のコミュニケーションに寂しさを感じているから」だと捉えました。そう感じた理由を整理していくと、スマホやSNSによっていつでも誰とでも繋がれる一方で、目の前に友達や恋人、場合によっては家族がいたとしても、いつも誰かとLINEやチャットをしている。同時に多くの人と繋がっているけど、それは希釈化された薄いコミュニケーションばかりで、心に残らない。いつも何故か寂しさを感じる。だからこそ、三葉と瀧くんが交わす時空間を超えたコミュニケーション・想いの強さと濃ゆさが胸に残ったのだ---。これは仮説なので正解かどうかはわかりませんが、この仮説を更に一歩進めて「コミュニケーションがデジタル化する現在だが、人々の心のスキマを埋める様な、Face to Faceのサービスやコミュニケーションの価値が再評価されるかもしれない」とすれば、新しいアイデアに繋がっていきます。

 

別の観点から業務時間中には出会わない物・場所に触れる事の重要性を説明すると、業務中に触れる情報のほとんどはテキストや動画などほぼ視覚情報です。

しかし街で得られる情報は視覚だけでなく五感で情報を得られる情報です。香ばしく焼きあがったパンの臭い(嗅覚)、人々の他愛ない会話内容や自動車のエンジン音(聴覚)、パッと手に取った斬新な形をした商品の手触り(触覚)などなど。街に出かければ自分が意識せずとも五感を刺激する情報と出会うチャンスは無数にあり、こうした五感情報を体内に蓄積させる事は、良質な仮説を生み出す土壌を作っている事と同義だと思うのです。私たちが日々の生活で意識できる情報は、全身で受け取っている情報の3%で、残りの97%は無意識で受け取っている情報だと言われています。街に出かけるという事は、この97%の情報を集める作業なのだと思います。この97%部分に良質なインプットを蓄積出来ていると、前述の“パッと仮説が思い浮かぶ”という現象に繋がります。データをこねくりまわしても、調査結果とにらめっこをしても、いつもと同じ場所でうんうんと頭を捻っていても、新しい仮説は生みだせません。それはインプットの量もバラエティ(質)も不足しているからです。

 

私はマーケティングリサーチ業界に関わって10年以上経ちますが、マーケティングやリサーチに従事している方々は本当に皆さん忙しく働いています。また仕事が好きな方も多く、仕事の報酬は仕事という考え方で、新しい事に挑戦し続けている素晴らしい方も多くいらっしゃいます。一方でそうであるが故に、活動範囲はオフィス・クライアント先・実家周辺に限定され、交友関係も仕事の延長ばかり・・・という方も多いのが現状です。そうした方々が良い仮説やアイデアを持てるでしょうか?頑張っていても、どんなに忙しくしていても、アウトプットでクライアントに価値(新しい気付きや感動)を提供できなければ意味がありませんし、価値を提供できないマーケターやリサーチャーは、発注主の作業代行に貶められてしまいます。

 

マーケターやリサーチャーとして「世の中はいまこうなっている」「生活者はいまこれを求めている」という事を誰よりも理解するには、もっとインプット量を増やし、質を高めなければなりません。繰り返しですが、その為にはもっと街に出掛け、様々なものに触れる必要があると思います。もっと遊ぼう!というという事かもしれません。

良質な仮説は、感性と理性の共同作業で生み出されるのだと思っています。

データになるもの、ならないもの

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購買情報 
位置情報
ブラウジング情報
アンケート情報
SNS投稿
TV視聴状況                      

センシング情報  

 

など、我々の行動はあらゆる情報として可視化され、つながり始めている。そこから私達の思考や気持ちは予測出来るのか?部分的にはYesで、部分的にはNoであろう。

例えば脳波を測定してCMの反応を測定した時に、どこで反応が大きかったかという事は測定出来たとしても、「なぜ」かはわからない為、結局アンケートやインタビューが必要になる。また、私たちの葛藤や悩み、悲喜こもごもといった複雑な感情が全て精緻に把握されるにはまだ一定の時間が必要だと思う。

結局のところ、今はまだ可視化される情報の方が可視化されない情報より少ないのだ。
であれば、見えるモノのみに目を向けるのではなく、見えないモノを感じる
感性が重要だという事も、忘れないようにしたい。

もちろん、データを扱うリテラシーが大前提にはなるのだが。

広報やコミュニケーション部門の役割

2015年10月より広報室の責任者も務めているのですが、改めて標題の書籍(監修:清水正道)を読んで基本に立ち返ったので、備忘として印象に残った点を書き残したいと思います。

 

<広報活動に必要な8つの広報力>
1.情報収集力:自社や競合の評判を収集・把握する
2.情報分析力:収集情報に基づき、課題を洞察する
3.戦略構築力:広報戦略の構築と目標管理・見直しを実行する
4.情報創造力:相手に合わせてメッセージを開発する
5.情報発信力:複数の情報発信手法を複合的に駆使する
6.関係構築力:重点ステークホルダーと信頼関係を高める
7.危機管理力:リスクの予測・予防や緊急対応スキルの維持向上
8.広報組織力:経営と広報の一体活動のための意思決定

 

この視点で上記視点を振り返るとやれていない事ばかりになってしまいますが、
企業規模や業界、置かれている状況によって必要な広報活動は違うので、
優先順位を明確にして強化すべき役割を明らかにする事が重要。

自社に立ち返ると3.情報創造&発信力が弱いと感じているので
より積極的にニュースリリースやPRを配信したいと思っているが、
「そもそもニュースになる情報は何か?」といえば不明瞭。

個人よってニュース性の解釈も様々だ。
前述の書籍によるとニュースになる視点は以下3つ。

1.社会情勢や経済情勢といった世の中の大きな流れに合致している
2.潮目が変わる兆しのような動き
3.経済界のダイナミックな動き

納得である。さらにニュースの価値は相対的でもあり、
速報性・新奇性・公益性・その事象の認知度などによっても変わるという。
これら情報をメディアにしっかり届ける為には、
メディアとの関係性や人間関係をしっかり構築する事が必要であり、
広報とは会社全体の営業活動といえると思う。

経営戦略と連動し、国内外に強いブランド構築に成功している例としては
スターバックス」がある。彼らの広報戦略の骨子は以下4つ。

<スターバックスの広報戦略>
・One voice of the customer(統一されたメッセージを届ける)
・Mid Term Strategy(中長期的な視野に立つ)
・Story telling communication(驚きと楽しさ溢れるストーリーを伝える)
・Loyalty building/innovation(カスタマーのロイヤリティを高める)

世界観に基づいた体験価値を重視しているスターバックスらしい
こだわり様である。弊社のようにBtoBビジネスを展開している企業は、
顧客がより合理的な判断で購買をするので、ロイヤリティや楽しさなどで
ブランドを創るのは極めて難しい。だからこそ、統一感や中長期的な視野での
コミュニケーションなどが信頼感・安心感というブランド価値に繋がるように思う。
「カスタマーエクスペリエンス」を意識するということでもある。
ちぐはぐな体験は、誰にとっても気持ち悪いものだ。

コミュニケーションの結果は受け手が決める、
という現実も広報活動の難しさの1つであると思う。
「意図したメッセージが、意図した相手に届き、ポジティブに残り続ける」
ことがコミュニケーションの難しさだと思うが、
それにチャレンジし続ける事が広報やコミュニケーション部門の役割なのだろう。

社会情報大学院大学、開講

2017年4月に、日本で初めての広報のプロフェッショナルを育成する大学院が開校しました。

www.mics.ac.jp

 

世の中に情報が溢れています。玉石混交の情報の海に溺れないためにも、正しい情報を見極め、集め、解釈する為の力が必要になっていますが、そのようなデータリテラシーを学ぶ機会は多くありません。特に社会との対話がミッションである広報には、今まで以上にデータリテラシーが求められています。あらゆる生活社がSNS等のWEBを通じて情報発信ができるようになった為、これまでのように企業→社会・生活者というOne Wayのコミュニケーションは通用しなくなったからです。生活者との対話を通して、生活者や社会から信頼を得る必要がありますが、その有効な手段としてマーケティングリサーチがあります。マーケティングリサーチは生活者との対話だからです。というような事を、私が客員教授として講義する事になりました。非常に光栄な機会なので全力を尽くしたいと思っています。